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離婚で問題になること①

夏休みも終わり、皆様もお忙しくしている頃でしょうか。

まだまだ残暑が続きそうですので、体調管理に気をつけてください。

 

さて、今回から、何回かにわたって離婚についてのご説明いたします。

第1回の本稿では、離婚の基本事項および法律上問題になる事項の概要をご説明します。

 

1.そもそも、離婚とは?

 離婚とは、生存中の夫婦が、有効に成立した婚姻関係を、婚姻後に生じた事情を理由として、
 将来に向かって解消することを言います。

 「将来に向かって」というところがポイントです。
 婚姻中にお子さんが生まれた場合、離婚したからと言って、その子が非嫡出子になるわけではありません。
 

2.離婚の種類

 離婚には、大きく分けて協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。

 協議離婚は、その名の通り、両者の合意によって離婚するものです。
離婚原因は、後述するように民法に規定されていますが、協議離婚の場合には、
離婚原因の有無は問題になりません。

 夫婦の一方が離婚に同意しない場合や離婚の話し合い自体ができない場合,家庭裁判所に調停の申し立てをすることになります。この調停で離婚することを調停離婚といいます。
調停では,離婚そのものだけでなく,離婚に際しての財産分与,年金分割,慰謝料について,子供の親権,面談交渉権,養育費などの問題についても一緒に話し合うことができます。

 調停でも離婚が成立しなかったが、それでもどうしても離婚したいという場合には、訴えを提起して離婚する方法があります。これを裁判離婚と言います。裁判により離婚を請求する場合には,一定の理由が必要となり,法定の離婚原因がある場合に限って離婚が認められます。なお
離婚原因は、民法770条1項に次のように規定されています。
① 配偶者に不貞行為な行為があったとき
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき
③ 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
④ 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき
⑤ その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

 これらの具体的な内容は項を改めてご説明いたします。

 なお、裁判離婚をするには、調停を経ていなければなりません。
 これは、家庭内の争いについては、まずは話し合いを経てから、裁判で争うべきという考え方に基づくものです(調停前置主義)。

3.離婚で問題になる主な事項

 どの離婚の種類であっても、離婚に際して、財産をどう分けるか、子どもの親権はどうするか
いろいろと問題になります。以下では、問題となる事項の概要をご説明します。それぞれのさらに具体的な内容は
次回以降ご説明いたします。

(1)財産分与
「財産分与」とは,婚姻期間中にお互いが築いた財産を清算して分けることです。
「婚姻期間中に」というのがポイントです。婚姻前に築いた財産は、特有財産と言って、
財産分与の対象にはなりません。
 また、不動産などは、夫婦どちらかの名義にしていることはよくあることですが、
名義がどちらか一方であっても、お互いが協力しあって形成した財産であれば、財産分与の対象となります。
なお、財産分与は,離婚後2年以内であれば請求する権利があります。
また,財産分与は慰謝料と違い,離婚原因を作って夫婦関係を破綻させた者(有責配偶者)からも請求することができます。

(2)慰謝料
「慰謝料」とは,精神的苦痛に対する損害の賠償として支払われるお金のことです。
離婚の原因が不貞行為やDVであれば,その原因となった行為自体によって精神的な苦痛を味わったことになるので,原因行為が不法行為として損害賠償の原因となります。

(3)婚姻費用分担の申立
 離婚をする前から別居していることがよくあります。
別居していても、法律上は夫婦ですから、婚姻費用は分担する必要があります。
婚姻費用は,夫婦と子供の衣食住の費用,子供の出産・養育・教育費用,病気の治療費等々が含まれます。
例えば夫に収入があり、妻に収入がない場合、妻は別居中の生活費等について夫に請求することができます。

(4)年金分割
 2007年4月1日以降,離婚の際に厚生年金や共済年金を分割することが認められるようになりました。
国民年金は対象とならないので、自営業者等は年金分割できませんが、サラリーマンや公務員の夫(妻)をもつ妻(夫)は、夫(妻)が加入していた厚生年金のうち,婚姻期間中が分割の対象になります。年金分割の割合は「最大2分の1」です。

(5)子どもの問題
未成年の子どもがいる場合、親権者・監護権者、面会交流、養育費の問題が生じます。

まず、親権者はどちらにするかが問題となるでしょう。
また、親権を取得しなかった当事者の面会交流、養育費が問題となります。

 

以上のような問題が生じます。 

個々の具体的内容は次回以降、ご説明いたします。

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