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相続の法律・税務関係③

当事務所は、新しいスタッフを迎えました。スタッフ一同、気持ちを新たに皆様のために頑張って行きますので
今後ともよろしくお願いいたします。

 

さて、前回の続きです。

(4)生前贈与加算

 生前贈与加算は、相続または遺贈により財産を取得している人で、被相続人から相続開始前3年以内に生前贈与により財産を取得している人は、その財産を贈与時の価額(時価)で相続税の課税価格に加算(生前贈与加算)しなければならないとする制度です。相続時ではなく贈与時の時価で加算します。

 贈与された際に、「贈与税の配偶者控除の特例」や「直系尊属から住宅取得投資金の贈与を受けた場合の非課税の特例」の適用を受けた場合にも、控除を受けた部分に相当する金額や非課税の適用を受けた金額を相続税の課税価格へ加算する必要はありません。

 配偶者控除の特例は、項を別にして詳しく説明しますが、簡単に言うと配偶者から居住用不動産などの贈与を受けた場合に、一定の要件を満たせば2000万円を課税価格から控除することができる制度です。 
 例えば、5000万円(贈与時の時価)の居住用不動産を配偶者の贈与を受け、配偶者控除2000万円を受けた場合、3000万円を相続財産に加算しなければなりません。

 直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例は、その名の通り、直系尊属から住宅取得投資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば、贈与により取得した金額のうち、非課税限度額(平成28年1月〜平成32年3月までは700万円)までは贈与税が課税されないという制度です。

 

(5)相続時精算課税制度について

 相続時精算課税制度は、平たく言うと、贈与時は最高2500万円まで非課税にしますが、贈与した人が亡くなり相続する時には、その贈与の分も課税すると言う制度です。

 適用できるのは、贈与者が60歳以上の親および祖父母(特定贈与者と言います。)、受贈者は20歳以上の子である推定相続人および孫に限定されています。なお、年齢の判定は、贈与年の1月1日です。

 2500万円を超える部分については、一律20%の税率で贈与税が課されます。

 つまり、

(特定贈与者からその年中の贈与財産の価額の合計額 − 最高2500万円)× 20%

 の贈与税が課されます。

 なお、2500万円の非課税枠は、累計で2500万円まで使えます。一度1000万円の贈与の時に同制度の適用を受けた場合、翌年以降1500万円の限度で非課税枠が使えます。

 そして、相続時には、贈与時の時価で相続税の課税価格に加算しなければなりません。相続時ではなく贈与時の時価で加算します。

 この制度で注意すべき点は、同制度を選択した場合、自動継続され一生涯、同制度を適用され続けること、取り消しができないことです。

 これで何が困るかと言うと、贈与時には基礎控除として110万円が贈与価格から控除された上で贈与税が計算されますが、この基礎控除が受けられなくなります。110万円に満たない贈与が複数ありそうな場合には、同制度を選択しない方が良いでしょう。

 この制度は、相続税が発生しない場合や相続税が少額になる見込みの場合に、同制度が有効です。

 では、どのような場合に相続税が発生しない、または、少額になるのでしょうか。次回はこの点について、説明いたします。

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