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ネットトラブル③〜インターネットバンキング〜

ネットバンキングが普及してきましたね。

振込手数料が安く、銀行に行かなくてもスマホで振込できることから、非常に便利ですが、セキュリティは大丈夫なのかなどの不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。今回は、インターネットバンキングにまつわる法律問題について事例とともに解説していきます。


<事例1>

 ネットバンキングにログインしたところ、自分が把握している残高と異なる残高になっていました。振込履歴を確認したところ、知らない口座に勝手に振込されていました。どうやら、パソコンがウィルスに感染していてIDとパスワードが盗まれたようなのです。この場合、銀行から補償は受けられるでしょうか。

 

<解説>

 結論:補償を受けられる場合もあります。

 

 盗まれたキャッシュカードを利用された場合には、一定の条件のもとで補償を受けることができます(預金保護法5条1項)。もっとも、ネットバンキングを不正利用された場合の法整備は、まだ進んでいません。

 そこで、全国銀行協会は、預金保護法に準じて金融機関が補償する自主ルールを定めています。

そのルールによると、個人の預金者が被害に遭った場合、

①金融機関への速やかな通知(被害発生美の30日後までに行われないと補償対象外)、

②金融機関への十分な説明

③捜査当局への事情説明(真摯な協力)

④預金者に過失がないこと

を要件に被害金額全額が保証されます。

預金者に過失があった場合には、各銀行の実情や被害態様雨あ状況に応じて、損害額の一部が補償されます。なお、預金者に重過失がある場合には補償対象外とする金融機関が多いようです。

ウィルスに感染したとされる<事例1>では、金融機関がウィルス対策を注意喚起していたか、ワンタイムパスワードなどを導入していてパスワード盗取による被害の注意喚起をしていたか、預金者がセキュリティーソフトに入っていたか、ウィルスに感染しそう怪しいメールを開封していないかなどの点を考慮して、預金者の過失の有無を判断することになります。

 

<事例2>

 ネットバンキングにログインしたところ、自分が把握している残高と異なる残高になっていました。振込履歴を確認したところ、知らない口座に勝手に振込されていました。どうやら、娘が勝手に高級な化粧品を購入するのに私のIDやパスワードを利用して、購入代金を振り込んだことが判明しました。この場合、銀行や購入先に代金返還を求めることができるでしょうか。

 

<解説>

結論:銀行に返還を求めたり、購入先に代金の返還を求めることは難しいです。

 

 先ほど、<事例1>で挙げた要件からすると、預金者に過失がなければ補償されそうですが、今回は、家族が犯人でした。

 預金保護法では、「当該預貯金者の配偶者、二親等内の親族、同居の親族その他の同居人又は家事使用人によって行われた」キャッシュカードの不正利用については、補償の対象外とされています。全国銀行協会の自主ルールは、預金保護法に準じるものなので、同法よりも厚い保護が預金者に与えられるとは考えられません。

 したがって、<事例2>では、銀行から補償を受けることはできません。

 

 では、購入先はどうでしょうか。

 購入代金の支払いが、債務者(事例2の娘)以外の口座から不正に送金されたものであっても、購入代金の弁済として有効です。

 このことから、購入先の売主が、不正操作による送金である事実を知り、または、知らないことに過失があるといった、特殊な事情がない限り、購入代金を取り戻すことはできません。

 

<事例3>

 A社は、取引先B社へインターネットバンキングを利用して振込を行いました。振込が完了した画面も確認し、確実に送金されたと思ったのに、送金処理がされていませんでした。B社が、契約違反を主張し、損害賠償を請求してきました。この場合、B社に損害賠償をしなければならないでしょうか、また、銀行に損害賠償を求めることはできるでしょうか。

 

<解説>

結論:B社への損害賠償は負うと考えられます。銀行に対しては、損害賠償を求めることが可能なこともあります。

 

 損害賠償責任を負うのは、債務者に帰責事由がある場合だとされています。しかし、金銭債務に関しては、(お金があるか否かに関わらず)常に履行が可能であるとするのが民法の考え方で、お金を払うことができなかったのが、台風、地震などの不可抗力であったとしても、期日通り支払わなかったことについては債務者に帰責事由があるとされます。

 B社への支払ができなかったのは、A社の操作ミスか、インターネットバンキングのシステム上の障害なのか、事例からは判然としませんが、いずれにしろ、期日通り払わなかったことについてA社には帰責事由が認められます。したがって、損害賠償責任を負うことになります。

 銀行に対する請求についてですが、もちろんA社の操作ミスであれば、銀行に対して損害賠償請求をすることはできません。

 一方、システム障害等が原因の場合、銀行がシステム障害に対応すべき相応の安全対策を講じたにも関わらず、障害が生じた場合に限って、損害賠償請求が認められることになります。したがって、銀行等が相応の対策を講じているにも関わらず、甜菜糖の不可抗力によってシステム障害が生じた場合や、極めて高度な技術によってハッキングされた場合などに認められます。

 また、システム障害について、銀行側に過失が認められる場合には、これによって被った損害の賠償を請求することが可能です。

 

今回は、インターネットバンキングで問題となる法律問題をご説明いたしました。被害に遭わないためにも、ID・パスワードは、厳重に保管するようにしましょう。

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